「潰れない会社を目指そう!」というテーマで、年初からセミナーを企画していた。
でも、良く考えると、経営コンサルティング会社である弊社が潰れてしまっては、シェレにもならない。

徳目の一つである「信」を実践しなければ説得力はない。
ちなみに、私の理解では、「信」は、言っていることと、やっていることが一致している、つまり「言行一致」。

いくら良いことを言っていても、じゃあお前は何なんだ。言ってることと、やっていることが全然違うじゃないか。これでは誰にも信用されないだろう。

多くの社長に見られるように、偉そうなことを社員に言っていても、社長が一番やってないじゃないか!
これでは、社員が言うことを聞かないのは当然である。
どこかの国もそうみたいだが・・・

会社は赤字だから倒産するのではない。
支払うお金が無くなるから倒産するのだ。
潰れない会社になるためには、前から唱えているように、現預金を確保すること。
したがって、これをまず弊社が実践してから、セミナー開催しようと考えた。

弊社の事例を紹介しよう。
なお関係者の方、気分を害したらゴメンなさい。弊社を訴えないでくださいね。

4月で設立4年。特にお金も必要ないからと、口座開設している銀行3行から借入していなかった。
しかし、このコロナ禍で、今後どうなるのか分からない。
まず弊社も、年商半分の現預金を持たねば。

そこで、GW前に、A行に決算書と弊社概要説明書を持参。
会社設立時に、コンサルティング売上代金入金口座が必要なため口座開設して4年。これまで何もやりとりすることもなかったが、快く会ってくれ、弊社の近況を伝えるとともに、書類も預かってくれた。だが、その場で融資の受付に進むことなく、このコロナ禍で人員も足らないので、少しお時間をいただきたいとの回答。

その後、1週間経っても何の連絡がないため、こちらから電話するもテレワーク中でつながらず。
翌日、先方から電話いただくも、本音でお話をいただき、恐らくこの状況下では、ご融資ができるのは3ヶ月以上先になってしまうかもしれないとのこと。

怒りが出るというよりも、元銀行員である自分が逆の立場であれば、そうなんだろうな~ と、妙に納得してしまった。
こんなちっぽけな会社を相手にしていては、全く自分の成績にも繋がらないし、きっと私の方から諦めてくれると助かるのだろうな、と。

その話を受け、B行へとすぐ動いた。
そこでは、決算書の他、持参した書類には全く目もくれず、なんでうちに相談に来たのでしょうか、他でお借りになられたらいかがですか、と言う話を2、3分され、丁重ではあるが、早くお帰り下さいという感じで送り出された。
完全に門前払いされ、唖然。

やっぱり銀行って、こういうところだよな~ と半ば諦めながら、その足で今度はC行へ。

ところがC行は、期せずして話をじっくりと聞いてくれ、なんとその場ですぐに借入申し込みを受け付けしてくれたのである。

それでも、多分融資できるまでは2か月かかるでしょう、とのこと。
こちらも、今お金が必要な訳ではないので、そちらのペースで進めてくれたら、融資はいつになってもいいですよと話し、やっと動き出したのである。これがGW直前のことだった。

その後、話が二転三転。
1か月半後に、A行から、大変お待たせして申し訳なかったとの電話があり、あっという間に話が進展。その後も保証協会との交渉でトラブルもあり、かなり紆余曲折があったものの、最終的には、A行、C行からダブルでご融資いただきました(内緒ですが)。

ということで、ようやく先日、私が目指していた年商の半分の現金が集まった。
この間、なんと3ヶ月。

平時であれば、月商の2ヶ月分の現預金があれば、やっていけるかもしれない。
つまり、
・月商1億円であれば、現預金2億円
・月商1千万円であれば、現預金2千万円
・月商1百万円であれば、現預金2百万円

モノを売ってもすぐにお金を回収することができなければ、支払の方が先になるので、一般的には立替資金が必要になる。売上増減に関係なく人件費も、家賃も払う必要があるので、一般的には月商の2ヶ月分くらいの現預金は持っていないと安心できないということだ。

でも、このコロナ禍では、
・月商1億円であれば、現預金6億円を
・月商1千万円であれば、現預金6千万円を
・月商1百万円であれば、現預金6百万円を
確保すべきである。
年商の半分程度の現預金を確保すべき、これが私の見解だ。

お金さえあれば、ビジネスチャンスは必ずやってくる。

競合企業はこれから潰れてくれるかもしれないし、欲しかった土地建物や企業も、安く買えるかもしれない。
その時、手元にお金が無ければ、ただ指をくわえて見ているだけになる。

また、お客様が激減したり、自社の取引先の経営悪化などにより、売上が大きく減少してきた時に、家賃、給与などの支払に困窮していては、前向きの経営などできるはずもない。
黒字、赤字などという問題ではなくなってくるはずだ。

ちなみに、当然だが、このままB行と取引していても全く意味はないので口座解約する方針にした。

でも口座解約の前に、メガバンクに普通預金口座の申し込みをしておこう。
融資を受けた使う予定のないお金は全部メガバンクにそのまま置いておき、いつかはメガバンクからもお金を引っ張るぞ、と(笑)

そこでお金の心配が無くなってから、今度は普通預金の口座開設に取り掛かった。

するとメガバンクでの普通預金口座開設には、ネットでいろいろな情報を登録する必要があり、再度、融資を受ける時と同様に、会社の謄本、印鑑証明を用意し、さらにアポ取りして来店するように、とのこと。

ここまでして口座開設するものなの???
なんか、普通預金の口座開設はして欲しくない、いう意図を感じますが・・・

そこで、私は仕事がかなり滞留していて土日もずっと休めず、ブログも書けないほど大変忙しい状況だったが、もう乗り掛かった舟で、今度は普通預金の口座開設に取り組んだ。

アポをとり、担当の方にお会いして話を進めると、こんなに手間かけてきたのに、なんと、これから1か月半はかかるとのこと。
あの~ 融資の申し込みではないのですが・・・と、心の中で思わず笑いが出た。

夏が終わり、普通預金の通帳ができるのは秋になるのかな。
でも、その場で交渉した結果、なんと2週間で口座開設できましたが(これも内緒!)。
とにかく、銀行をいかに味方につけていくかがポイント。

弊社のように蓄えの無い会社は、とにかく、借りて、借りて、借りまくらないと、潰れる可能性大。
こんな感じで、やっと「潰れない会社」のお話をするスタートに立てることになった気がする。

お金が必要になってから銀行に貸してください、と言っても、銀行は決して貸してくれない。

そんな先の読めない社長にお金を貸したら、返済できない可能性大なので。
今の時代、融資しても銀行は儲からない。
返せない会社にお金を貸して、もし倒産でもされたら、そこで銀行員生活は終了。
ババを掴むような高いリスクを冒してまで融資するようなチャレンジャーの銀行員は・・・
「半沢直樹」が貴社の担当者なら分かりませんが(笑)

銀行から融資を受けるには、ぜひお金が要らない、余裕のある時に!

もし、すでにお金に困る状況になってしまった社長でも、絶対に諦めたらダメだ。

弊社では、融資が受けられないと言われ続けてきた会社でも、銀行の意向に沿うような資料を作成したり、社内改革を進めて、融資を引き出すことは幾度となく行ってきている。
また、銀行への事情説明に社長と同行して、銀行員に十分理解いただいて融資を引き出すことは得意中の得意。
貴社の経営を全力でサポートする経営コンサルタントは、私だけではなく他にも必ずいるはずだ。

今は、年商の半分程度の現預金を確保するところからが勝負となる。
やり方はいろいろある。
絶対に諦めたらダメだ。
社長には、自分の家族だけでなく、社員、社員の家族の生活、命がかかっているのだから。

小林ビジネスコンサルティング株式会社
代表取締役経営コンサルタント 小林八尋

http://www.kobayashi-bizcon.jp/