仕事は優秀な人に集まる。
だがそれを放置すると、優秀な人だけが脚光を浴びて活躍し、その他大勢は輝きを失って、やがて会社全体の売上は伸び悩み、意欲が落ちた人達のムダな人件費がかさむことになる。

優秀な人は皆から褒め称えられ重宝がられて、会社からも高く評価される。
当然だが、そのノウハウを他と共有し活用することができれば、組織全体が力をつけて強い組織になる。
しかし皆が優秀な人と同じようにできるにはかなり時間がかかる。
そうすると、優秀な人は、他者に教える時間があったら自分でやった方が早い、さらには自分の評価に結びつかないことに構っていられない、ということになる。
だがそれを許していては、一向に組織力は高まらない。

特に問題なのは、チームリーダーやベテラン社員の評価・処遇を個人の実績のみ対象にすることだ。
それは、チームプレー、組織力向上を目指さず、個人プレーを推奨することに等しい。

例えば、優秀な課長とその下に一般社員が3名いるとする。売上は課長1億円、一般社員は3名で1億円、合計2億円。

この時に、課長は一般社員の3倍も稼いでいる、 素晴らしい!と個人の売上だけを評価し処遇し続けていると、いつまでたっても課員の営業力は高まらず、チームの業績向上は見込めない。

そこで次年度は、課長の売上目標は課の売上2億2千万円としてみよう。
そうすると課長は、個人の売上は評価されなくなるので、部下を指導育成し、チーム全体の売上増加に注力せざるを得ない。さらに部下の数字を見ながら、足らない部分は自分がもっと稼ぐ必要もあり、ふんぞり返っているだけでは目標達成できないこととなる。

組織力向上するには、優秀な人を褒め称えるだけではダメだ。
他者がその人の半分でも良いから、同じことができるようにすべきである。
それには、俺が1番! 俺がやった方が早い! という優秀な社員をいかに変えるにかかっている。
優秀な人に学び、教え合い、個人だけでなくチームでの成果を評価・処遇の対象とする。そういった仕組みを構築する必要がある。


小林ビジネスコンサルティング株式会社
代表取締役経営コンサルタント 小 林  八 尋


(元 株式会社ちばぎん総合研究所 経営コンサルティング部長)
(元 一般社団法人東京プロマーケット上場協会 理事)