4月に入り、新入社員の初々しい姿や、新型コロナウィルスの影響により変わった形で入社式が行われている映像が流れている。

このような大変な時期に入社される新人の方は可哀想だなぁという気持ちと、一方では、会社側もこんなに大変な時期にも拘らず、約束通りあなた方新人を迎え入れてくれるのだから、感謝し、学生気分から早く卒業して一生懸命働いていただきたいとも思う。

私は毎年、新入社員研修を行なっているが、昨年から事前に課題図書を配り、感想文を提出させている。自ら本を書く能力も時間もないので、自分の考えにあった本を探しまくった。選んだのは「まねる力 模倣こそが創造である」齋藤孝 著。

私のコンサルのスタイルは、会社の中に入り込んで、部長、課長、係長といった現場管理者と一緒になって経営計画の実行や課題解決を支援することが多いのだが、最近すごく気になっていることがある。それは、新人が全くメモをとらないことだ。

どこの会社に伺っても同じで、ネットで調べてみても世の中そのようだ。いったい学校はどんな教育をしているのだろうか?

私のクライアントは中堅・中小企業だから、東大卒やMBA取得者などはおらず、一回話を聞いただけで全て覚えていたり、その場で全部理解できる人はまずいない。にもかかわらずである。

上司、先輩が仕事を丁寧に教えてあげても、新入社員は聞いてませんでした、と平気に言ってくるのだ。昔なら完全に... 今の時代は、パワハラで訴えられると怖れているのか、残念ながら鬼軍曹はいない(涙)

こんな調子だから、私の新入社員研修でも、当然メモをとらないばかりか、講師の目の前で居眠りする奴がいる。男女ともだ。
だから質問して指したり、小テストをしたり、休憩をこまめにとったりと、もう大変。眠くならない講義ができない私がいけないのかもしれないが、それにしてもである。
さすがに頭にきて「君たち仕事中だぞ。なんで研修中にも拘らず眠るのか」と尋ねると、「朝早く起きて会社にきたから...」 もう開いた口が塞がらない。

こういった連中に、もっと自分のやりたいよう自由に、柔軟な発想で、クリエイティブに、と言ってみても、ダラけきった学生気分から抜け出せず、ただ新入社員研修の時間をやり過ごせばいいや、になりかねない。しかもこの傾向は年々酷くなっている気がするのだ。

職場の上司に聞くと、あれだけこうしろよ、これだけはチェックして、と言ってやらせてみると、「分かりません」、「聞いてませんでした」と。しかも同じミスは何度もするし、なんで??? 分からなかったら自分勝手にやらずに聞きなよと。

私は不惑を前にして合気道を習い始めたが、武道の世界では、よく「守・破・離」という言葉が聞かれる。

一人前、黒帯になるまでは、しっかりと指導者のいう通りにまずやってみて、基本を身につけること。そのためには、教えてくれたことを後でまとめたり、上級者、上段者の一挙手一投足を見て、それをそのまま真似ることが最善だ。40歳から始めた私などは、なかなか教わった通りに体が動かず、その場でメモをとって自宅に帰ってからマニュアルを作ったり、一人でそれを見ながらイメージトレーニングしたものだ。つまり型稽古。これが「守」。

そして黒帯になってからは、自分なりに考えて、試行錯誤しながら、少しずつオリジナリティを出しながら既存の型を破っていく。有段者から師範になるまでのプロセス「破」。
さらに、自分で道場を持ち、道場長にでもなれば、型から離れ、自由にアレンジしてやっていく「離」。

この本にも書いてあるが、かつて無着成恭氏が言ったという。型がある人が型を破るから「型破り」、型がない人がやったら「型無し」だと。

一人前になるまでは、まずはお手本を「真似」することが一番重要だ。
優れた型を真似ることが最善であり、上達の早道である。
やらされ感や受け身で真似るのではなく、能動的に、主体的に真似ることを、ぜひ身に付けさせてあげたい。
まだ未熟な者が自己流で、やりたいように仕事していては、時間のムダだけでなく、ミス、クレームの原因となり、お客様、会社に多大な損害を与え大問題だ。

さて、今年の研修はどうなることやら...

小林ビジネスコンサルティング株式会社
代表取締役経営コンサルタント 小林八尋